自分が一人残されたってことには、たぶん何らかの意味があるのだと思う。
それは、病気と闘っていた時に、共に同じ病気と闘う同士の全てがこの世を去り、自分だけが残された時から始まり今に至る。
新人は先人に
先人は先祖に
先祖は開祖に
残された人は必ず何かを受け継ぎ今に至る、大いなる意思を受け継ぎ未来へと進む心の翼は、そうして力強く羽ばたく。
残された自分は、自分の夢を掴むために、なぜ残されたかを探す旅に飛び立つ。
毎日空を飛びたいと思っていたガキの頃、自分はばーさんに自分は飛べるかと聞いたら、
「人間が飛べるわけないだろ、このバカちんが!」
と叱責されメソメソ布団の中で泣いて空を飛ぶことを諦めた、どうせ空なんか飛べないと決めつけた、決めこんでしまった。
そん時から、それで俺の夢は終わり、打ち止め、詰み。
だから飛べなかったんだ。
近眼で眼鏡だった古田淳也は日本一のキャッチャーなったってのにさ。
でも、これだけは解る。
どんな大層で立派な夢だろうが、どんだけ難しくて誰も出来ない夢だろうが、諦めたらそれで終わり、一人残されたからと自暴自棄になり、夢を追うことを諦めたらそれで終わり。
どうせ諦める理由なんて一山幾らみたい安っぽい台詞を思いつき、言えるんだろ、
やれ、ガキが死んだから
やれ、女房が死んだから
それはテメぇが夢を諦める口実だろ?
同士は皆逝き、一人残されるも、ダラダラ生きてきたくせに、女房の努力を見てやることも認めてやることも、褒めてやることもロクにせず、人前では努力家を演じ、口ばかり達者で薄っぺらい偽物の自分。
さして読み応えの無いかもしれんが、この波乱万丈のサクセスストーリーを自伝として完成させるためには、ここで立ち止まるわけにはいかない、
諦めるわけにはいかないのさ。
なぁ、美穂?
闇と恐怖に怯えさまよったあの時、
光る剣は闇を切り裂いてくれた、
そして今は、残された自分にこれから何が訪れるのかというような恐怖や不安、いわゆる闇に怯えることは何一つ無い。
あるのは寂しさと後悔、
自分の中にある光る剣を、今度は力強く握りしめ前に進む。
【光り輝く剣】
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